社団法人 松本青年会議所
第51代理事長 水野谷 武士
少年時代、あるテレビ番組を見て衝撃を受けた。芝生付きの裏庭で親子睦まじくキャッチボールをし、まちに出掛ける際には、大排気量のスポーツカーに乗り、片側6車線もあるフリーウェイを颯爽と駆け抜ける。私たちの日々の生活と確実に違うと感じた。数年が経ち、「ニューヨークへ行きたいか!?」というフレーズで始まるクイズ番組に夢中になり、「行きたい!!」と強く心から願った。念願が叶い、18歳の時、アメリカ合衆国に渡った。「人種のるつぼ」と言われるこの国に、世界各国から、個々に様々なバックグラウンドを持ち、「自由と夢」を追い求めて人が来る。この年、「六四天安門事件」「ベルリンの壁崩壊」「ルーマニア革命」などの事件が起こり、第2次世界大戦後続いた「東西冷戦」終焉に向けての序曲が始まった年だった。異邦の仲間たちと語り合いを重ね、初めて気づいたこと。異国で暮らして初めて分かったこと。
I proudly say I am Japanese.
I am proud of being born and raised in the city of Matsumoto.
日本人としての自覚と誇り。この地域(まち)で生まれ育ち、故郷(こきょう)の素晴らしさに目覚めた、私の航跡である。
I proudly say I am Japanese.
I am proud of being born and raised in the city of Matsumoto.
日本人としての自覚と誇り。この地域(まち)で生まれ育ち、故郷(こきょう)の素晴らしさに目覚めた、私の航跡である。
「夢と希望」、待ち望んだ21世紀がスタートして10年近くが経つ。しかし「夢と希望」は「9・11世界同時多発テロ」という悪夢からの出発となってしまった。2008年に世界を覆った「リーマン・ショック」を契機に、我が国日本も出口の見えないトンネルに迷い込み、混沌という言葉がまさに今を表している。日本に元気がないのである。2009年9月、憲政史上初の政権交代が起き、「子ども手当」「農家における個別所得補償」「高速道路の無料化」など本当に実現可能なのかと半信半疑ながらも、一つのキーワードをこんな時代だからと国民は求めた。「チェンジ」。
今、我が国日本が変わろうとしている。
今、我が国日本が変わろうとしている。
この地域(まち)のグランドデザインを描こう
社団法人松本青年会議所(以下松本JC)は、「明るい豊かな社会の実現」に向け、日々運動展開をしております。現状の社会情勢を直視し、調査・分析・企画・行動・評価のJC5サイクルを常に念頭に置き、現状に対する運動と共に、未来投資への運動を行っております。魅力溢れる地域(まち)を創造するためには、地域(まち)の力を結集し、未知なる可能性を求めていかなければなりません。2005年4月1日、「平成の大合併」と呼ばれた再編の波に乗り、1市4村が合併して新生松本市が誕生しました。2010年3月には、東筑摩郡波田町との合併が予定され、人口約24万人都市に生まれ変わろうとしています。合併によりこの地域(まち)の枠組みも装い新たになりますが、松本JCは個の輝きを大切に結集し、その集合体として市民力となし、「地域(まち)の財産」を念頭に置き、「地域主権型社会」実現に向け、10年先を見据えた魅力溢れる「この地域(まち)のグランドデザイン」を発信します。そしてこの地域(まち)が、これから起こる地域間競争の波に飲み込まれないためにも、地域(まち)の持つ強みを活かした、新たな産業の創出が必要です。過去、松本JCでは「松本ブランドの棚卸し」など早期に地域ブランドに着目しました。この地域(まち)は「岳・学・楽」と3つの「ガク」を大切な地域資産として持つ「3ガク都市」と呼ばれ、文化と歴史に育まれた城下町の面影とアルプスの大自然が共存するまちです。それだけでなく、この地域(まち)には潜在的に眠っている文化と歴史的資源、そして今の社会情勢に見合ったソフトが無限に存在するはずです。「Cool Matsumoto!」。無限なる可能性に夢を掲げ、新たな価値による産業基盤確立に向け、ビジネスモデルを発信します。「信州まつもと空港」もこの地域(まち)にとってはかけがえのない 「Cool Matsumoto!」です。長野県唯一の空への玄関口として、松本JCは1981年から「信州まつもと空港」活性化に向け、運動をしています。2007年1月、「松本・札幌定期旅客便運休案」が浮上した際、松本JCは休止案撤廃を求め約15万人の署名を集め、運行会社の決定を覆す原動力となりました。再び今、「信州まつもと空港定期旅客便撤退」というニュースが飛び込みました。私たちの空港がかつて無い激変の波に直面しているこの時に、恒久的に「信州まつもと空港」がこの地域(まち)にとってどのような存在意義と価値を有しているのか、未来を見据えた政策提言を行います。未知なる可能性を求めて
2009年、松本JCは、財団法人地球環境戦略研究機関国際生態学センター長、宮脇昭氏を講師としてお招きし、松本刑務所並びに松本市周辺50ケ所にて「松本JCエコロプラン」と題し、植樹事業を行いました。「命を植える」という理念のもと、一つひとつのポット苗を精魂込めて土に還し、生長を願い、「命の大切さ」「尊さ」「儚さ」の想いを馳せてきました。「松本JCエコロプラン」を継承し、自然との共生という観点から、ヨーロッパを中心にして問題提起されている「2020年問題」も視野に入れ、責任世代として、次代を担う子どもたちに夢を託し、将来彼らが「大きな夢のなる木」に生長することを願い、大きな命を植えていきます。「よみがえれ!城下町」というテーマのもと、「城下町特有の景観や地名を、子供たちを含む市民の多彩な運動で再評価し、生活に活かすことが、これからのまちづくりにもの、心、両面から重要な手がかりになることは明らかです。城の石垣、濠の水に映る緑、小路のたたずまい、そして400年以上の城下町の歴史で培われた市民の文化は、地域産業の新しい展開にとっても、かけがえのない遺産であり、価値です。」これは、第1回全国城下町シンポジウム松本大会の宣言文の一文です。このような認識をもつ全国の城下町の同志が、城下町という共通の観点から何ができるかを考えようと、1982年7月17日、「第1回全国城下町シンポジウム松本大会」が開催されました。2009年、「全国城下町青年会議所連絡協議会主催 第28回全国城下町シンポジウム福知山大会」にて、「第30回全国城下町シンポジウム松本大会」主管開催が決定しました。主管決定にあたり、松本JCは、今一度原点に立ち返り、諸先輩方の目指した時代の先駆者、リーダーとしての誇りを持ち、より高く、より先を見据えた政策提言をしていこうという、熱い意思を引き継ぎます。さらに、市民の社会参画が様々なかたちで具現化されている現在、「全国城下町シンポジウム」をビッグステージとして捉え、確固たる信念を夢に掲げ、地域一丸となって全国へ発信します。
意識改革と組織改革 本質を見つめ直そう
2009年、松本JCは創立50周年を迎えました。1960年、高き志を持った35名の青年が地域発展の志を胸に立ち上がりました。以来、「明るい豊かな社会の実現」を理想に掲げ、5年から10年先のこの地域(まち)の未来像を描き、情熱を持って運動展開を続けています。歴史の重み、良き伝統は誇りとして私たちの心の中に息づいています。他方、松本JCの会員数の推移を見ると、1990年の151名をピークにそれ以降は徐々に減少し、2010年は84名の会員で運動をスタートしました。会員数がただ多ければ良いという短絡的な価値観には与しませんが、同世代の人々に、私たちのこの地域(まち)に対する「想い」を伝えられなければ、地域一体となって運動の輪を広げていくことは、不可能です。また、2009年新年総会第一部において、2011年までに実施される「公益法人制度改革」に向け、「公益社団法人格取得」を決議しました。取得に向けては、事業活動の公共性、透明性がより一層必要となるのみならず、今まで以上の「組織力」が求められます。会員一人ひとりが「この地域(まち)の未来は私たちの力で切り拓くという気概」と「私たちは常に時代の責任世代である」という意識改革、そして手法の見直しによる組織の効率化とスピード化を実現する組織改革に着手します。限られた時間なら、その時間内に精一杯議論し、伝えることは的確にメリハリをつけて伝えよう。会員一人ひとりが、JAYCEEとしての自覚と自信、誇りを持つことで組織は変わり、会員拡大にも拍車がかかるものと信じます。気づきから始まるアイデンティティー
夢と希望を持って渡米した時、片言の英語も話せず、どのようにしてコミュニケーションを図ればよいのか悩みました。「文法的に間違えたら恥ずかしいな」という先入観に捉われ過ぎ、人と会話することを恐れた時期もありました。1990年、湾岸戦争が勃発した際、クウェートから来ていた友人が必死に自国のピンチを訴えました。その姿を見て、私の心の中で確実に何かが変わりました。「国際交流」とは、相手のバックグラウンドを尊重し、己のアイデンティティーを再認識する機会です。2010年、私たち松本JCは、姉妹青年会議所である台南女國際靑年商會と交流を開始して19年になります。歴史の積み重ねの中で、双方の国を行き来し、「言葉の壁」を乗り越えた確固たる信頼関係を築くことができました。2009年、松本JC創立50周年記念祝賀パーティーでは、台南市市長にもご臨席賜り、「JC同士の交流」という枠を超えました。訪れた者にしか分からないと言われている熱烈歓迎。心の壁を取り払えた時こそ、新たな気づきのチャンスなのです。結びに
松本JCは、失敗を恐れぬ青年らしい勇気と情熱を持って、常に社会情勢を注視し、先を見据えた議論を重ね、私たちを待つ真っ白なキャンバスに壮大なる夢を描きます。JC運動=目的、JC活動=事業ということを明確に認識したうえで、一人ひとりのJAYCEEが「変える」という気概を抱き、持てる英知を結集して、この地域から日本へ、そして世界へ、私たちの「想い」を声高く発信します。2010年、未来に夢を託し、強い足跡を残します。基本方針
・「たかがJC されどJC」 同じやるなら本質を知り、本物になろう。・「たかがJC されどJC」 同じやるなら積極的に誇りを持って行動しよう。
・「たかがJC されどJC」 同じやるなら楽しもう。
委員会構成
地域力創造室
- 故郷(こきょう)の誇り創造会議
- 地域主権を視野に入れ、10年先を見据えたこの地域(まち)のグランドデザイン構築
- 「Cool Matsumoto!」創造委員会
- 地域経済の発展に向けた松本ブランドの棚卸し並びに創出
信州まつもと空港の存在意義の検証と新たな可能性の模索
未来へのとびら創造室
- 自然との共生から夢を繋ぐ委員会
- 松本JCエコロプランを継承し次代を担う子どもたちの心を育む活動
- 全城シン企画行動委員会
- 第30回全国城下町シンポジウム松本大会成功に向けての挑戦
組織力強化室
- 総務組織改革委員会
- 活気溢れる理想の組織像の模索
公益社団法人格移行への準備
会員交流の実施 - 会員拡大挑戦委員会
- 未来のJAYCEEの勧誘
「会員拡大」の視点から捉えた理想の組織像の模索
会員交流の実施
アイデンティティー育成室
- 広報国際アイデンティティー委員会
- 広報全般
国際交流を通じて日本人としてのアイデンティティーの確立 - 未来のJAYCEE育成委員会
- 未来のJAYCEEの勧誘
新入会員の育成 - 出向者連絡特別会議
- 各出向先で得られる情報の共有